リスク評価
システム統合者にとって最も重要な要素の一つはリスク評価です。リスク評価は大部分の国で法的に必須事項となっています。また、ロボットの設置に対する安全評価は、ロボットを全体システムに統合する方式によって異なるため、ロボットだけではリスク評価を行うことはできません。
ロボットのリスク評価を行うために、全体システムを構成する管理者はISO12100及びISO10218-2の指針に従ってロボットを設置し運営してください。さらに、管理者は技術規格書のISO/TS 15066を参考にして進めることができます。
リスク評価は、ロボットアプリケーションの全体寿命に対する全体作業のプロセスを考慮しなければなりません。リスク評価の重要目標は以下のとおりです。
- ロボットを使用するための設定とロボット作業のティーチング
- 問題診断とメンテナンス
- ロボット設置の正常な作業
ロボットアームの電源を初めて入れる前に、必ずリスク評価を行ってください。正しい安全構成の設定を行って、特定ロボットのアプリケーションに対する追加非常停止ボタン及びその他の保護手段の必要性を知ることは、リスク評価遂行の一部です。
正しい安全構成の設定を知ることは、協働ロボットアプリケーションを開発するにあたって特に重要な部分です。詳細はマニュアルの該当内容を参照してください。
一部の安全関連機能は、協働ロボットアプリケーション専用に設計されたものです。この機能は、安全構成の設定によって構成でき、統合者が行ったリスク評価の具体的な危険に対処するのに適しています。
協働ロボットの安全管理機能は、安全構成の設定メニューで構成でき、次の機能を提供します。
- フォース及びパワーの制限:ロボットと作用者間で衝突があった場合に備えて、停止する力と圧力を制限
- 運動量の制限:ロボットと作業者間で衝突があった場合、ロボットの速度を落としてエネルギーと衝撃荷重を制限
- ジョイント及びTCPの位置の制限:ロボットがユーザーの首や頭のような特定の身体部位に移動しないように動きを制限
- TCP及びツールの姿勢の制限:ツールと作業部分の特定エリアや特徴に関連した危険を減らすために制限(例> ツール又は作業物の尖った部分が作業者に向かって移動することを防ぐために使用)
- 速度制限:ロボットと作業者間で衝突が起きる前に作業者に衝突を避ける時間を与えるため、ロボットが低速を続けるように制限
正しい安全構成の設定を適用することは、 ロボットを特定の位置に固定して安全関連IOに連結することと同じことであると見なされます。例えば、パスワードの保護使用などの方法で、システム統合者は許可を受けていない者が安全構成を変更することを防ぐことができます。
協働ロボットアプリケーションでリスク評価をする場合、特に重要な事項は次のとおりです。
- 個別の潜在的衝突の深刻度
- 個別の潜在的衝突発生の可能性
- 個別の潜在的衝突回避の可能性
内蔵された安全関連機能を利用して(例:危険なツールを使用する際)危険を合理的に、又は十分に取り除けない非協働ロボットアプリケーションにロボットを設置した場合、システム統合者はリスク評価で保護装置を追加しなければならないと、必ず結論付けなければなりません。(例:設置及びプログラミングの途中で統合者を保護する装置を使用)。